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ドクターズインタビュー

のだホームケアクリニック 院長 野田 哲平

循環器医として20年以上のキャリアを持つ野田院長。
様々な臨床の現場での経験から、整った在宅医療の必要性を痛感したことが
のだホームケアクリニック開業につながったと話します。
チーム医療を重視し、訪問看護師や救急救命士、ケアマネージャーともタッグを組む野田院長。
新しい在宅医療の形を目指す野田院長に、訪問診療にかける思いや今後の目標についてお尋ねしました。

interview 01

interview 01

出身は島根県で、高校卒業後は関西医科大に進学しました。実家が眼科の開業医だったので、もともと眼科医を目指していたのですが、その当時は心臓カテーテル治療の全盛期。心筋梗塞をはじめとした患者さまの命に直結する現場に携わりたいと思い、循環器医を選択しました。

interview 02

interview 02

約20年間の循環器内科医・内科医としての毎日はとても充実していました。心疾患全般や末梢血管疾患の患者さまをたくさんみてきました。また、カテーテル治療にも深く携わってきました。治療を通じて、救命できた症例は多数あり、非常にやりがいを感じていましたね。
しかしながら、最善の治療を行い、救命処置が成功したにも関わらず、患者さまの一定数が退院後に再発・悪化するケースも見受けられるようになったのです。

interview 03

interview 03

理由はさまざまですが、高齢化社会を背景に、一人で暮らすお年寄りの方や認知症の方が増えたことが原因に挙げられると思います。家族のサポートが得られないためご自身で健康管理ができなかったり、足腰に不安があり通院が中断してしまったりするんですね。それらが原因で、自宅で再び健康状態を悪化させ、再搬送につながるケースをよく目にしました。

interview 04

interview 04

その通りです。そうなると次は入院になるのですが、入院すると多くの場合、環境の変化から認知機能が低下します。ベッド上での生活が続いてしまうと、どうしても自力での移動、食事や着替えなどの日常生活動作が難しくなってしまいます。ご高齢の方の場合、自分で動けなくなることで認知機能も低下してしまいます。その結果、自宅へ帰ることが困難になり、病院を転々として最終的に施設の入所になるケースをよく目にしていました。

interview 05

interview 05

以前にみた患者さんがみていない間にもっと状態が悪化して、救急搬送されることがありました。そのような経験から「自分が継続して診療に携われたら」と思うことが多々あり、居宅や施設への訪問診療をするよになりました。
またコロナ禍では入院制限があり、医師として在宅での治療を選択することも多かったこともきっかけの一つです。その当時はやむなく選択した在宅診療だったのですが、意外にも、それまでなら入院治療をしていたような症例でも、在宅医療の環境を整えることで入院せずに治療できた例をたびたび目にしました。その経験も、在宅医療の可能性を感じた契機になりました。

interview 06

interview 06

個人的なエピソードになりますが、訪問診療を始めた頃、父親が末期ガンと診断されたことが心に深く刻まれています。本人は在宅での治療を望んでいたと思うのですが、私自身もまだ在宅治療の知識が乏しく、また環境もなかったため、入院でのケアになりました。明らかに死が近づいていたのですが、父とは終末期医療や介護の方針について話す機会がなく、最後まで自分の死を受け入れることなく亡くなりました。在宅医療の選択肢があれば、父の最晩年はもう少し充実した時間を過ごすことができていたのではないかと思っています。こういった経験を経て在宅医療の重要性を感じ、訪問診療中心のクリニックの開院に至りました。

interview 07

interview 07

在宅医療では「ときどき入院、ほぼ在宅」といった言葉を目にするかもしれません。在宅医療をするには多職種と連携が必須です。当クリニックでは常勤の社会福祉士が中心としケアマネージャーと連携、そこに訪問看護ステーション、また私が現在も携わっている総合病院、民間救急との連携もあります。

interview 08

そのため在宅から入院管理まで一貫してサポートできることが強みです。協力体制をこれだけ手厚く整えたクリニックは全国でも少なく、新しい在宅医療のかたちを提供できると考えています。
神戸市北区では在宅医療を専門としたクリニックはまだ少なく、どこに相談したらいいかもわからない方も大勢いらっしゃると思います。在宅医療を少しでも考えている患者さま、ご家族がおられましたらぜひ当クリニックまで相談下さい。